トグルクランプはカッコ悪い?
機械設計の仕事をしていますと、半自動機や治具などの設計でトグルクランプを使用することも多いのではないでしょうか。
種類も多く値段も安くて機能性も高いので便利な物ですが、昔から変わらずにカッコ悪いように思うのは私だけでしょうか。
昔から変わらないのは、それだけ完成度が高いということではないかと思いますが、もう少し見た目を改善して欲しいですね・・・。
治具などで使用する場合はあまり違和感が無いのですが、自動機の中では周辺と比べて少しチープ感が出てしまうように思います。
板金構造とメッキと赤いグリップがチープ感を醸し出す三大要素ではないかと個人的には思っていますが、見た目を良くするためにはコストが掛かりますので、「高価でも見た目の良いクランプを欲しい」というようなニーズが無いのかもしれませんね・・・。
トグルクランプの構造
トグルクランプは小さな力の入力で大きなクランプ力を出力することができる機械要素ですが、これはリンク機構の一種であるトグル機構を利用して実現されています。
下図に示すような4節リンク機構です。
単純な構造なので信頼性も高いと言えるのではないでしょうか。
詳細は、株式会社ミスミさんのトグル機構(倍力機構の基礎)などをご参照ください。
見た目の良いクランプを開発する
見た目の良いクランプ のニーズはある程度あるのではないかと思いますが、商品価格は確実に高くなりますので、商品として販売するのは難しそうです。
そこで、低発塵などの付加機能を付ければ訴求効果が大きくなるのではないかと考えています。
近年はクリーン環境内で使用する装置の割合が増加してきていますので、低発塵であれば高価でも少しはニーズがあるかもしれません。
トグルクランプの場合は、ジョイントが滑り摩擦構造であり、ジョイントには大きな力が掛かりますので、データはありませんが発塵量が多くなるのではないかと想像します。
開発品の構造
今回開発するクランプですが、リンク構造では面白くありませんので、カムを使用して、さらに低発塵とするために回転部にはベアリングを入れようかと考えています。
ベアリングは耐荷重を考慮すれば針状ころ軸受を使用したいのですが、コストの関係もありますので深溝玉軸受にしてみました。
下の画が設計したクランプユニット(カムクランパと呼びます)で、比較的小型な物にしてみました。
上の画はクランプ状態ですが、下に解除時の状態を示します。
残念ながらカッコ良くはありませんが、チープさは多少改善されているのではないでしょうか。
図面で寸法などの詳細を確認されたい方はPDFでご確認下さい。
分かりにくいと思いますので、簡単な動画を用意しました。
試作機を製作
概算で製作費を見積もりましたが、やはりなかなかコストが高くなりそうで、とても売れるような金額にはできそうもありません。
とは言え、せっかく設計しましたので、1台試作することにしました。
下が実際に製作した試作機の写真です。
下は実際に物をクランプする動作の動画です。
製作してみての所感
個人的には、見た目も悪くありませんし、機能的にも想定した程度でした。
難を言えば、やはりもう少しクランプ力を大きくしませんと適応範囲が狭いのではないかという気がします。ベアリングを針状ころ軸受に変更したいですね・・・。
今後は改良を加えまして使いやすい物にしていきたいと考えていますので、続きの投稿をお楽しみにして下さい。
ご覧くださいましてありがとうございました。