目 次
機械設計に関する投稿
私は長年のあいだ産業機械の機械設計に携わっておりますが、制約の中で常に最良の装置を作りたいと考えながら設計しております。その中でノウハウという程ではありませんが、思ったこと・気になったことなどを掲載していこうと考えておりますので、内容につきまして異論も含めましてご意見をいただけましたら幸いです。
また、内容につきましては責任を負いかねますので、参考とされる方はご自分の判断でご使用下さい。
最初の投稿
今回の投稿が機械設計カテゴリの最初の投稿なのですので、軽めの内容で始めさせていただきます。
球面座金をレベル調整ねじと組み合わせて使う
今回のネタはミスミさんなどで扱っているレベル調整ねじと球面座金を組み合わせて使用する方法です。具体的には下の概略図のような使い方です。分かりにくくて申し訳ありませんが詳細は以下をご覧ください。
球面座金の普通の使い方
下の画像はNBKさんの球面座金です。
普通の使い方としましては、下図のようにねじの傾きに倣い、ナットが片当たりせずに締め付け可能になります。
Wikipedia では、「規格:JIS B 5213。 座面の片側が凸と凹の球面になったものが一対で用いられる。任意の角度で締め付けることができる。」とあります。
架台上面の機械仕上げ
ところで、産業機械などの装置を製作する場合に、高い割合で製缶構造の架台の上にユニットを載せる構造を採用することが多いと思います。
架台も多くは角パイプなどの構造材料を用いて上部にテーブル板を溶接接合することが多いのですが、この後にテーブル面を機械加工仕上げするか否かは装置の要求精度や機能などから判断されます。
この機械加工は架台が大きくなりますと大型の工作機械が必要になり費用が大きくなるため、コスト面を考慮しますと極力機械加工を施さなくて済むようにしたいところです。
調整構造
機械加工を施すか否かの判断は仕様条件によりますので触れませんが、施さない場合の対処としましては、架台上に対してレベル調整ねじの類を介してユニットを取り付ける方法があります。前記の概略図では下の板が架台で上の板がユニットのベース板として表しており、4点で接続されていますが、3点の方がユニット側の板に曲げ応力が掛かりにくいと言えます。
レベル調整ねじのみの場合
レベル調整ねじのみでもユニットのベース板が十分厚ければ問題は小さいのですが、そもそも架台とユニットのベース板が平行でない場合は調整ねじサイズが大きいほどロックナットを締め付ける際に調整ねじがベース板と垂直に矯正される力が働きますので、ベース板の平面度が損なわれやすくなります。
そうなりますと必然的にユニット内の構造物の精度に影響が出てくる可能性があります。
球面座金を追加する
そこで、レベル調整ねじの下に球面座金を入れてユニットのベース板に曲げ応力が掛かりにくくします。
効 果
架台に機械加工仕上げを施さない場合もある程度の精度でユニットを取り付けることができ、ユニットの高さ調整もできます。
仕様条件によりましては使える装置もあると思います。
この度はご覧くださいましてありがとうございました。