私は機械設計の仕事をしており、設計ツールとしまして三次元CADのソリッドワークスを使用しております。
現在(2020年11月)使用しているパソコンが購入から5年を経過してメーカのサポートが切れることと、内蔵ストレージの空きスペースがだいぶ小さくなってきましたので、そろそろパソコンの更新時期かと考えてきたところです。
特にパソコンに詳しいわけではありませんが、購入するにあたり調査・検討しておりますので、ほんの少しでもお役にたてる情報をお届けすることができるかもしれません。
目 次
現状使用しているパソコン
現在使用のパソコンは5年前に購入したDELL社のPRECISION M4800 で、スペックは以下の通りです。
- ディスプレイ:15.6インチFHD 1920×1080
- メモリ:32GB DDR
- ストレージ:256GB SATA SSD
- ビデオカード:NVIDIA Quadro K2100M 2GB
- OS:Windows 7 →後に10へ更新
- サポート:テクニカルサポート24時間365日 3年間→後に2年延長
このパソコンはノートタイプのワークステーションで、当時税込みで33万円程度でした。
このパソコンに27インチの外部モニタを接続して使用しています。以前の記事:ひのきで仕事机DIY をご参照下さい。
デスクトップの方が当然スペックは高いですし増設もできますので便利な面も多いのですが、三次元CADの利点は何と言いましても「客先でのプレゼンテーションでの分かりやすさ」にあると思っておりますので、私にとってノートPCは必須です。
作業はデスクトップで行い、プレゼンテーションは別のノートPCを使用している方も多いとは思いますが、私の場合はあまりパソコンに詳しくはありませんので、両方のパソコンの設定を合わせたりする手間が煩わしく感じることもあり、ノート1台のみにしています。
1台ですと壊れた場合にバックアップが無いというリスクはありますが、データのバックアップさえあれば数日で回復できるのではないかと考えています。
そのためにメーカさんのサポートは重要になります。
今後、パソコンの設定が全てクラウド化されて、どのパソコンでも同じように使用できるようになれば複数台でも使い勝手が良いかもしれませんが、それでもソフト代が2台分必要ですのでコストパフォーマンスが悪そうですね。
購入するパソコンのスペック
5年前はストレージがハードディスクからSSDへ移行する時期で、SSDの容量もノートでは256GB以上の選択肢がありませんでしたが、とにかくパソコンで壊れやすい部品は機械的に動作するハードディスクでしたから、容量が小さくてもSSDを優先したのです。
実際に5年間ハードに使用しましたが、SSDの問題は発生しませんでした。
以前のパソコンではモニタのバックライトが切れたことはありましたが、最近はLEDに変わって壊れにくくなりましたので、パソコン全体として長持ちするようになったと思います。
因みに現使用のパソコンも一度大きな故障がありまして、出張修理でマザーボードの交換などしていただきました。
結果的に原因はビデオカードで、恐らくコネクタの部分ではないかと思います。
ストレージの容量ですが、現在の256GBでは全く足りません。
必要不可欠なデータ以外は外付けのハードディスクに移してなんとか使えている状態ですので、できれば1TBは欲しいと考えています。
メモリの容量ですが、現状の32GBでは足りないように感じています。
私の感覚では、中規模の装置を設計する分には問題がないのですが、複雑で大規模な装置になりますと、Pack and Go やデータ変換に時間を要してしまいます。
メモリの価格は高いので、懐へのインパクトが大きいのですが、できましたら64GBにスペックアップしたいところです。
現状パソコンのサポート延長
DELL社のパソコンのサポートは最長で5年間なのですが、さらに1年の延長が許される可能性がゼロではないようなのです。
特にスペックとして大きな問題はありませんので、延長が認められれば、新PCの購入を先延ばしにしても良いかもしれませんし、あるいはバックアップ用PCとして使用することも考えられます。
この件はDELL社に問い合わせ中で回答待ちとなておりますので、結論を得ましたら追記いたします。
<追記> 今回は残念ながら6年目の延長を断られてしまいましたが、どういう条件の場合に延長が可能なのかは分かっておりません。
候補のメーカと型式
私は10年以上DELL社のPrecisionを使用してきましたので、当初は「次も同シリーズを使おう」と考えていたのですが、前述のようにスペックを上げますと価格がかなり高くなりましたので、他社も検討に入れることにしました。
2020年11月現在での候補は、以下の3つです。
- Dell社 Mobile Precision 7550
- HP社 ZBook Firefly 15 G7
- Lenovo社 ThinkPad P1 Gen 3
DELL社 Precision
まずはDELL社ですが、現在使用中の5年前のモデルと現行品の寸法と重量を比較します。
Precision | W[mm] | D[mm] | H[mm] | kg |
使用中15.6インチ | 376 | 256 | 36.25~39.9 | 2.8 |
現行15.6インチ | 360 | 242 | 25~27.36 | 2.45 |
現行17.3インチ | 400 | 263.6 | 28.9 | 3.01 |
5年前のモデルと比べますと現行の15.6インチの全体寸法は少し小さくなっているようですが、17.3インチにしてしまいますとだいぶ大きくなりますので、やはり15.6インチのままで良いと思います。現状より小さく軽くなりますので嬉しいポイントですね。
因みに、当時はDVDドライブが内蔵で、今回は外付けになります。
DELL社のホームページでPrecision 7550の仕様をカスタマイズして価格を出してみました。
以下のスペックです。
項 目 | 仕 様 |
プロセッサ | インテル Core プロセッサー i7-10875H (8 コア, 16MB キャッシュ, 2.30 GHz to 5.10 GHz, 45W, vPro) |
ディスプレイ | 15.6インチ FHD, 1920×1080, 60Hz, 非光沢, 非 タッチ, 100% DCIP3, 500 Nits, WVA, カメラマイク/WLAN |
メモリ | 64GB, 2X32GB,DDR4 2933Mhz 非-ECC |
ビデオカード | NVIDIA Quadro RTX 3000 6GB GDDR6 付き |
ストレージ | M.2 1TB PCIe NVMe Class 40 SSD |
Microsoft Office | Personal 2019(日本語) |
外付けストレージ | Dell USB スリム DVDRW ドライブ – DW316 |
保守サービス | ProSupport & 当日対応オンサイト保守サービス (平日のみ対応), 60 ヶ月 アクシデンタル ダメージ サービス, 60 ヶ月 |
Endpoint セキュリティ | VMware Carbon Black Cloud Endpoint Standard NGAV, B-EDR, w/Dell ProSupport 5 年間 |
この仕様でDELL社のホームページでカスタマイズ価格を見ますと、標準価格が 税抜約 95万円で、クーポンで35%OFFですので、結局は税込約 62万円ということになり、なかなかの高額です。セキュリティソフトや破損のサポートも含んでいます。
この金額につきまして電話で営業の方と交渉しましたところ、標準価格税抜95万円x0.42くらいで、結局は税込40万円程度に値引きしていただけそうです。
個別の仕様につきましては知識が乏しいのですが、プロセッサはコア数が多い方が性能が高く、i9の方がi7よりも性能が高いものの、コストパフォーマンスが悪いことと、納期が4か月程度掛かるということで、i7を選択しています。
ネットで調べた限りでは、ビデオカードはソリッドワークスである程度の規模のモデルを扱うためには T2000以上は必要のようです。
HP社 ZBook Fury 15 G7
HP社のホームページは私には分かりにくくて、行きたい機種になかなかたどり着けませんでした。メニューの「法人向け」の中の「ノートパソコン」ではなく「ワークステーション」を選択しなければなりません。
そして、「ラインアップ」の「モバイル」の「ZBookシリーズ」の中から機種を選択します。
メモリ64GBを絶対条件としますと、Firefly 15 G7とFury 15 G7に絞られるのではないかと思います。名称が紛らわしいですね・・・。
Fury 15 G7から価格を調べてみますが、いくつかのモデルがある中から「プレミアムパフォーマンスモデル」を選びますと、既にベース価格が 694,000円となっています。このモデル以外はメモリが64GBにできないようです。
下が仕様のリストになりますが、ほとんどカスタマイズできないので、変更はサポートを5年に延長した程度です。
主要項目が全てハイスペックとなっており、特にビデオカードが Quadro RTX 4000 と高いグレードとなっていますので、ソリッドワークスを使用する用途としてはスペックが高過ぎるかもしれませんね。
下が Fury 15 G7 の仕様表です。
これで税込み約 79万円ということで非常に高額ですが、電話でメーカに確認したところでは、値引きは若干とのことでしたので、選択肢から除外しました。
後日になりまして見積書をいただきましたが、3万円ほどの値引きとなっていました。
HP社 ZBook Firefly 15 G7
Firefly 15 G7ですが、CAD用のノート型としては定番みたいです。
基準価格が低いので、「このスペックで十分」という方にはコストパフォーマンスが高い良いモデルと言えるかもしれません。
Furyと同様に、いくつかのモデルがある中から「ハイパフォーマンスモデル」を選びますと、既にベース価格が 約40万円となっています。メモリ64GBを絶対条件にしますと、このモデル以外にありません。
このベースから保証を 5年に変更しまして、価格はWeb見積りで約 42万円となりました。※後日に見積書をいただきましたところ、14,000円程度の値引きとなっていました。
下が Firefly 15 G7 の仕様表です。
プロセッサのコア数が6で他よりも落ちますが、ディスプレイがUHDでストレージは 2TBもあるのは良い点です。
しかし、ディスプレイの解像度につきましては、私の場合はあまり高い必要はないと考えています。
ビデオカードの解像度が高いので、通常作業は外付けの解像度の高いモニタにつなげていますし、お客様の所で大抵はプロジェクタや大画面モニタを用意していただけたりしますので、ノートPCのモニタを使う場面が少ないのです。
このスペックの中で問題はビデオカード(グラフィックス)ですが、 Quadro P520 となっており、ソリッドワークスを使用するには低そうです。
ビデオカードにつきましても知識は乏しいのですが、数字が大きい方が高機能とのことで、T2000と比べてP520はだいぶ低いようです。
この件につきましてはソリッドワークスの代理店さんに確認してみましたが、P2000以上を推奨しているようです。ネット上でP2000はT1000と同等という情報と、T2000と同等という情報もありましたのでよく分かりませんが・・・。
全体的には高いスペックなのですが、ビデオカードのスペックが低いので、今回の選択肢からは外さざるをえないように思います。
寸法と重量ですが、W359.5xD233.6×19.2(突起含まず)mm、1.76kg ということですので、DELL社のPrecision よりも小さく軽いです。
Lenovo社 ThinkPad P1 Gen 3
Lenovo社ですが、中国企業ですので、通信機能を有する機器の購入には注意が必要と言えるのではないでしょうか。
ファーウェイの問題と同様に、真偽はわかりませんがLenovo社も過去にSuperfish問題などを起こしておりますので、考慮に入れる必要はあると思います。
政治的な話はさておき、Lenovo社のホームページで価格を算出してみました。下が ThinkPad P1 Gen 3 の仕様表です。
合計金額が画像と合いませんが、合計で約70万円で、クーポン割引約 18万円を引いて、約52万円となりました。
文字が小さくて見にくいので、主要部のみ拡大しました。
HP社と違いLenovo社のモデルは選択肢が広いので、今回の仕様に合った機器を選択できました。
プロセッサがCoreシリーズではなくZeonとなっております。三次元CAD用途にどちらが適しているかは知識不足ですが、サーバやワークステーション向けですので、高いスペックと言えます。
Core i9 は、DELL社の情報とは合いませんが「納期が4週間」との記載がありましたので、待つことができるようでしたら、i9 でも良いでしょう。
寸法と重量ですが、W361.8xD245.7×18.4mm、1.8kg ということですので、DELL社のPrecision よりも小さく軽いです。
金額は51万円では安くはありませんが、電話で営業の方に確認したところでは、値引きが可能のようです。
感触としては40万円を切ることも可能かもしれないような感じでした。
特に今の時期ですと、11月末にブラックフライデー企画が催されれば割引率が高くできるみたいですし、年末にはセールもあるようですので、少し様子を見ても良いと思います。
しかし、現時点では政治的な問題もありますので、傘下のNECパーソナルコンピュータの方々には申し訳ありませんが、今回は避けることにします。
<追記> ブラックフライデー期間に見積もりを依頼しましたところ、40万円弱の回答をいただきました。
今回の結論
HP社は極端な設定モデルしかないため不適としまして、Lenovo社は政治的に問題がありますので避けました。
やはりDELL社を長年使用してきて品質的にも信頼できると思いますし、今回は大幅に値引きしていただけましたので、DELL社で決めました。
スペックにつきましては考えてもわかりませんので、今回は少し高めの仕様の物を購入して、現状の物と体感で比較しようと思っています。
セットアップしました
発注してからひと月掛からずに手元に届きましたので、各ソフトをインストールして使えるようにしましたが、5年前のDELL PRECISIONと比べて変わった個所がありましたので追記いたします。
<変更点>
- 液晶パネルの開閉角度が小さいです。以前のモデルは180度開閉できたのですが、今回は150度程度しか開閉できません。恐らくはコンパクト化した弊害ではないかと思います。私はノートPCの奥に外部モニタを配置して使用しますので、外部モニタを高い位置に上げなければノートの液晶パネルが邪魔をしてしまいます。これは改悪ですね・・・。
- デフォルトでファンクションキーが効きません。デフォルトでは音量や画面の明るさの調整機能に割り当てられていますので、ファンクションキーを使用する場合はBIOSの設定を変更する必要があります。デフォルトのままでは、とにかくF7カタカナ変換に困ります。
- キーボードの矢印の上下キーが小さくなり操作性が悪くなりました(個人的見解です)。
- USBポートが右側2か所がtype-Aで、左側2か所がtype-Cになっています。
改悪された部分もありますが、本体は小型化されていますので、持ち運びは楽になりそうです。
また使用感などにつきましては後日レポートいたします。
半年が経ちました
DELL PRECISIONを購入してから気が付いたのですが、セキュリティ用に「Endpoint セキュリティ」を5年契約していたものの、これが使い物にならないことが判明しました。設定が難しいようです。
DELL社はセキュリティソフトとして標準でマカフィーを扱っているのですが、購入の際にはホームページ上でも選択ができなかったため、営業の方に訊ねたところ、「Endpoint セキュリティが代わりになる」との回答だったため付けたのですが、このソフトは(詳細は不明ですが)大規模なシステム向けの物とのことをDELL社の専門部門から回答を得ました。DELL社のプロサポートに訊いてもこのソフトに関しては知識が無い様子でした。
明らかに無駄な買い物になってしまいましたので、営業の方に対処を要望しましたが、2か月ほど経過しても明確な回答をいただけておりません。具体的にはマカフィー5年分に交換していただきたいと考えていますが、残念ながら対応が非常に悪いですね。
ご覧くださいましてありがとうございました。